アルケミスト

 

私はあまり本は読まないのですが、

人生の中で、何冊か心に深く刻まれた本があります。

 

その中の一つが『アルケミスト』という本で、

 

羊飼いの少年サンチャゴが、ある日見た夢のお告げに従ってエジプトのピラミッドを目指して旅に出る、様々な出会いから自分の中の真実を腑に落とす話なのですが、

 

その全部のストーリーが素晴らしかった

というよりは、、、

ある一つの場面が強烈に残り、

私はそこから『真理』のようなものを感じました。

 

本を探したのですが、ちょっと見つからなかったので、インターネットから要約していたものを引用します。

 

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ある店の主人が、

世界で最も賢い男から
幸福の秘密を学んでくるようにと、 

息子を旅に出した。

 

その若者は砂漠を四十日間歩きまわり、
ついに山の頂上にある美しい城に行きついた。
賢者が住んでいたのはそこだった。

 

しかし、

この若者はすぐに賢者に会えたわけではなく、
城の一番大きな部屋に入ってゆくと、そこでは、
さまざまな人が忙しそうに働いているのを見た。


貿易商人たちが行ったり来たりしていた。
隅の方では、 人々が立ち話をしていた。
小さなオーケストラが、軽やかに音楽を奏でていた。


テーブルには、その地方で一番おいしい食べ物を盛りつけた皿が、いっぱい並べられていた。

 

賢者は一人ひとり、すべての人と話していたので、
少年は二時間待って、

やっと自分の番がきて、賢者の注意をひくことができた。


賢者は注意深く、少年がなぜ来たか説明するのを聞いていたが、


今、幸福の秘密を説明する時間はないと、

彼に言った。

 

そして少年に、

宮殿をあちこち見てまわり、二時間したら戻ってくるようにと言った。

 


「その間、君にしてもらいたいことがある」

 

と、二滴の油が入ったティースプーンを少年に渡しながら、賢者は言った。

 


「歩きまわる間、このスプーンの油をこぼさないように持っていなさい。」

 


少年は宮殿の階段を登ったり降りたりし始めたが、
いつも目はスプーンに釘づけだった。


二時間後、彼は賢者のいる場所に戻ってきた。

 

 

「さて、わしの食堂の壁に掛けてあったペルシャ製のつづれにしきを見たかね。庭師のかしらが十年かけて作った庭園を見たかね。わしの図書館にあった美しい牛皮紙に気がついたかね?」と
賢者がたずねた。

 

少年は当惑して、

「実は何も見ませんでした」と告白した。


彼のたった一つの関心事は、

賢者が彼に託した油をこぼさないことだった。

 


「では戻って、わしの世界のすばらしさを見てくるがよい。 彼の家を知らずに、その人を信用してはならない」と賢者は言った。

 

 

少年はほっとして、スプーンを持って、

宮殿を探索しに戻った。


今度は、天井や壁にかざられたすべての芸術品を鑑賞した。 庭園、まわりの山々、花の美しさを見て、その趣味の良さも味わった。

 


賢者のところへ戻ると、

彼は自分の見たことをくわしく話した。

 

 

「しかし、わしがおまえにあずけた油はどこにあるのかね?」と賢者が聞いた。


少年が持っていたスプーンを見ると、

油はどこかへ消えてなくなっていた。

 


「では、たった一つだけ教えてあげよう」 

と、その世界で一番賢い男は言った。

 

「幸福の秘密とは、世界のすばらしさを味わい、
 しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」

 

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スプーンの2滴の油とは『魂』だと受けとりました。

 

生まれてすぐは誰しもスプーンの油をちゃんとわかっていますが、

 

現実の様々な経験から、いつしか油の存在を忘れて、目の前の現実に翻弄されてしまいます。

 

それが飽和状態になった人生のある地点で

自分の中にスプーンの油がある事に気づくのです。

 

 

そして

『魂の視点』をいつも胸の中心に据えて、

尚且、この世のありとあらゆる事を、人間として味わい尽くす生き方にシフトしていく気がします。

 

 

 

魂の世界に逃避して

現実世界で夢遊病者のように生きたり、

 

現実の世界に翻弄されすぎて

魂の視点を忘れるのでもなく、

 

『両方併せ持つ』という事です。

 

君はそれをする為に、

肉体を纏って生きているんだろう?

 

私は私にそう言います。

 

 

高次元に繋がるほど、それに比例して

より強く、より深く、敢えて意識して、

目の前のリアルを直視する必要があります。

 

いつでもバランスがとてれいるのか

自分を俯瞰して観察する目が必要です。